過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 前編】
第68章 役に立つには・・・
「―――という訳で、今度の壁外調査では如何に多くの拠点を作り、
物資を備蓄出来るかが重要になってくる。
先だっての壁外調査で損失を出してしまった分、
今回は失敗が許されない。兵の配置は追って伝えるが・・・
何か意見があれば遠慮せず私に言って貰いたい」
毅然とした態度のエルヴィンがそう言うと
会議に参加していた班長の一人が手を挙げ、意見を述べた。
「前回の壁外調査では運悪く取り零した巨人に
荷馬車を破壊されてしまいました。ですので、
荷馬車の護衛を強化するのはどうでしょう?」
「強化するってどうやってだ?」
他の班長がその意見に対して更なる説明を求めると、
彼は例えば・・・と続ける。
「兵長の班を荷馬車の護衛に付けるのはどうですか?
人類最強であるリヴァイ兵長なら取り零した巨人も
あっという間に・・・」
「俺は構わねぇが、その分俺の班が抜けた穴を誰で埋める?
そもそも長距離索敵陣形が崩されちゃ元も子もない」
班長が言い終える前にリヴァイがそう言うと会議室は静まり返った。
リヴァイ班は精鋭中の精鋭で、常に重要な配置についているが、
裏を返せば一番危険な場所に置かれている事が多い。
その穴を埋めるだけの戦力が一体どこにあるのか、と
問われれば皆黙るしか無かった。