過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 前編】
第67章 分かり合いたい
「・・・・俺は俺よりもおまえの方が人類最強だと思っている。
そう言われるのは不愉快か?」
人類最強と言われている自分は、実際他人が言う程強いとは
思っていない。
他人から常人離れした戦闘力のせいで特別扱いされたり
期待される事は少なからずリヴァイの負担にもなっていた。
マリア奪還も儘ならない上、仲間も助けられない自分が
『人類最強』などと言われていても良いのだろうか?
ナナシならばもっと多くの仲間を救えるのではないのか、と思う。
それならばナナシに『人類最強』の称号を譲るべきではないのかと
再会した時から考えていた。
その言葉にナナシは暫し沈黙した後、
リヴァイに言い聞かせるように言った。
「不愉快以前に私は人類最強にはなれない」
「・・・何故そう言い切れる?立体起動戦は兎も角として、
それ以外なら俺よりも・・・いや、全人類の中でてめぇに
勝てる奴はいねぇだろう?」
「それはどうだろうな。それぞれに必ず弱点というものが
存在するから、私もそこを突かれれば一溜りもあるまい」
自分が言いたいのはそういう事ではない。
話の論点がずれそうになり、リヴァイは苛立たしげに
ナナシへ詰め寄った。
「単純な戦闘での話だ。少なくとも俺はおまえに勝てる気はしねぇよ」
「・・・・・・・・・・」
互いに睨むように見つめ合っていると、
溜息を吐いたナナシがリヴァイを納得させるように言葉を紡ぐ。