過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 前編】
第66章 戦う理由
「もう・・・昨日の事に関しては怒っておらん。
謝罪として肉も貰ったしこれ以上怒っていても無駄なだけだ。
それにお主にいくら言っても無駄だという事も
ここ数週間で学んでおるから諦めている」
肩を落としながら言うナナシに、
エルヴィンはリヴァイの言う通り心が広いなと感動する。
普通の人間だったらこんなあっさり許してくれないだろう。
まぁ、エルヴィンの行動をいくら咎めても
無駄だと諦められているようなものだが、
そんな事でエルヴィンの心は折れない。
「・・・君は本当に優しいな。私はやはり君が愛しいと思うよ」
「・・・・・・・五月蠅い。さっさと食って寝ろ」
ぷいっと背を向けて調理を再開したナナシの首が赤かったので
照れている事がわかり、エルヴィンは初々しい反応をしてくれるナナシを
見つめて顔を綻ばせる。
「良かった・・・・。昨日謝りに行った時、
顔も見せてくれなかったからもう許してもらえないと思っていたよ・・・」
「・・・・・・・・・・あの時は・・・」
パスタをソースと絡ませてお皿に盛っていたナナシが
気まずそうに視線を逸らしたのでエルヴィンが不思議に思った時、
「良い匂いがすると思ったら何食ってやがる」
という言葉と共にリヴァイとミケが厨房に顔を覗かせた。