過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 前編】
第65章 男か女か
「嘘など吐いて無い!」
「君の身体に触れた限りでは、女性でしかあり得ない
柔らかさと丸みだった」
「胸も女と同じだったぞ」
エルヴィンとミケにそう言われて、
ナナシは「違う・・・」と弱々しく言葉を紡ぐ。
「私は・・・徹底的に女装するのに、
一時的にそういう感じに身体を作り替えていただけで、
今はもう胸とかも無いだろう?」
三人はジッとナナシの胸部を凝視し、
確かに今はペッタンコだなとは思ったが、
胸ならいくらでも潰せるだろうという考えに至った。
「胸部を潰す布でも使用しているのかい?」
「そんなもん使っておらん。そもそも男に胸なんて無い。
今日は娼婦を買って突っ込むつもりだったのに・・・、
妨害された此方の身にもなってくれ」
さめざめと泣くように俯いたナナシにエルヴィンは
思案顔になりながら質問する。
「・・・では本当に君は今日娼婦を買うつもりだったと?」
「最初からそう言っているだろう」
「どうやって娼婦を抱くつもりだったんだ?
身体を見られるのは嫌いだろう?」
「服を着たままでも出来るし、バックでやれば問題無い。
相手に目隠しをすれば更に安全性が増す」
すらすら淀みなく答えるナナシに、
過去本当にそうやって女を抱いたことがある事が伺えたが、
エルヴィンは脳内で違う事を考えていた。