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過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 前編】

第9章 欲しい・・・




「・・・・・痛いじゃないか。再会の喜びくらい味あわせてほしい」

「充分味わったであろう。もう離せ、エロガキが」

「成長した子供としては、君ともっと先に進みたいのだが・・・」


腰と頭部に当てられたエルヴィンの手にグッと力が込められるのを感じ、
危機感で焦りながらどうやって目の前の男の行動を止めるか考えた。


「私は男だ」

「そうらしいね」

「・・・お主が男色趣味だろうと一向に構わぬが、私を巻き込むな。
団長ともなればその辺に好みの男が転がっておるだろう?」

「何やら誤解があるようだが、私はゲイではないし好みのタイプも
転がってはいないよ?」

「では、この状況は何だ?ゲイでないと言うなら離せ」


ググっと押し返そうとするナナシの頬は少し紅潮していて、
いつもの蒼白い無表情な顔しか見ていない者にとっては
それだけで欲情を煽られるものだった。


「いくつかの疑問に答えてくれるならば善処するよ」

「・・・・・何だ?」

「君は本当に男なのか?昔君は私に女だと言ったね?」

「・・・・・・今は男だ」

「・・・『今は』?」

「もう答えただろう。離せ」

「納得のいく説明が欲しい。それとも君は幼い無垢な子供に嘘を教え、
弄んでいたとでも言うのかい?」

「誰が幼い無垢な子供だ。此方にも事情があ・・・っ!」


話の途中で下半身を触れられ、ぞわりと鳥肌が立った。

ズボン越しに触れてきた張本人は真剣な顔で
「小さいが・・・ある・・・のか?いや、これは何かを仕込んでいるのでは・・・」
などと何やらブツブツと呟いている。

終いにはジッパーに手をかけてきたので、
相手の顎目掛けて強烈なアッパーを繰り出してやった。

大柄なエルヴィンの身体が弧を描くように吹っ飛ぶ様を、
少し離れて傍観していたミケの目がバッチリ捉える。


確かに…魅力的な腕力だなとミケは思った。


エルヴィンが殴られたのは自業自得だと思っていたので、
そこにはもう突っ込まない。

突然男にキスされた挙句、
股間をいじられたらきっとミケでも怒るだろう。

セクハラとパワハラのダブル攻撃は流石に庇いきれない。

地面に仰向けに倒れたエルヴィンはピクリとも動かず、
完璧沈められたのだと悟った。


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