過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 前編】
第64章 劇物
「ハンジは?何故あんな奇行に走った?」
「聞いてよ!ナナシのあんな顔見ちゃったら
滾るしか無いっしょ!あたしは確信しちゃったんだ!
『あ、ナナシを孕ませなきゃ』って!」
「おい、待てクソメガネ。てめぇは一応女だったろ?
孕ませるってどうやるんだ?それともてめぇに
イチモツが存在するってのか?」
ハンジの意味不明な言葉にリヴァイがツッコむと、
ハンジは壊れた機械のようにマシンガントークを繰り出した。
「あたしが産まなきゃとも思ったんだけど、
あたしって女として何かが欠如してるでしょ?
やっぱ子供を産むには不安があったし、
だったらナナシに産んでもらおうって思ったの。
あたしにはまだ突っ込むアレとか無いし、
種をどうやって作るかは研究してからでも良いけど、
取り敢えずマーキングだけはしておこうかと思って
おしっこを・・・」
「犬かてめぇは!ふざけんなっ!
ナナシに放尿しようとしてやがったのかっ!?
女というより人間としてそれはどうなんだ!?クソ野郎!」
顔を引き攣らせながらハンジの言葉を遮ったリヴァイが
ハンジへ文句を言ったが、彼女は
「え~?マーキングには手っ取り早いじゃん」と、
どこ吹く風だった。
そんなやり取りを聞いていたエルヴィンは、
冷徹な調査兵団団長の顔を作り声高に宣言する。
「現時刻をもって、ハンジを『特別危険奇行種』と認定する!
症状が治まるまで隔離させてもらおう。連れて行け!」
部屋の外に待機させていた兵士にハンジを連行させたエルヴィンは、
ナナバには自室謹慎を言い渡して溜息を吐いた。