過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 前編】
第63章 気遣いと下心
エルヴィンはナナシを自室のベッドへ降ろすと尋問を開始した。
「昨日私が身の回りの世話をすると言っておいたのに、
何故勝手に食堂へ行った?」
「お主は仕事で忙しいだろう?迷惑を掛けたくなかった」
「私は君の世話が迷惑だと思わないし、
勝手に動かれる事の方が迷惑だ」
その言葉でナナシが更にシュンとしたので、
可愛さの余りエルヴィンは押し倒したい衝動に駆られた。
落ち込む姿はとてもレアで、大変可愛らしい。
だが、ナナシは怪我人なのでそんな無体を働く訳にはいかないと
必死で我慢する。
「兎も角、君は怪我が治るまで勝手に出歩かないように」
「・・・・でも仕事が・・・」
「怪我を治すのが今の君の仕事だ。余計な事は考えなくて良い」
「・・・・・・・・・」
不満そうに見てくるナナシが何か言いたそうにしていたので、
エルヴィンは話題を変えるように「足を出しなさい」と言った。