過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 前編】
第63章 気遣いと下心
「消毒して包帯を替えよう。早く治したければ素直に従いなさい」
「もう自分でやったぞ」
「・・・・・・・・・・何で君は全部一人でやってしまうんだ?
少しは甘えるなり頼るなりしなさい」
「自分で出来ることを他人にやってもらうのは悪いではないか」
「いや、全然悪くない。むしろ私にやらせなさい」
悉く萌えフラグをへし折ってくるナナシに、
エルヴィンは思わずそう懇願してしまった。
朝食での「あーん」もやらせて貰えなかった上、
自分から手当ても奪うのか・・・・。
落胆していると扉がノックされ、
食事の乗ったトレイを持ったリヴァイがやってきた。
それを見たナナシは嬉しそうに頬を染めたので、
エルヴィンは少しムッとする。
「助けを求められたからメシを持って来てやったぞ、ナナシ」
「感謝するぞリヴァイ!流石人類最強の男だ!」
ここで人類最強は関係ないだろうと思ったが、
ナナシなりの褒め言葉だと黙って受け取っておく。
ナナシはリヴァイから食事を受け取ると、
物凄い勢いで食べ始めた。
その姿にエルヴィンとリヴァイは違和感を覚える。