過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 前編】
第63章 気遣いと下心
ナナシはいつものように食堂で食事を取っていたが、
今日はいつもと違いエルヴィンやリヴァイ達がいなかった。
別にいつも一緒に食事を取ろうとかそういう約束事は無かったが、
いつも同じテーブルに着く彼らがいないと
食堂が見知ったものとは違う風景に見えるから不思議だ。
早朝に目が覚めて空腹を覚えたナナシは、
昨日エルヴィンから「身の回りの世話は私がするから」と
言われていたものの、そんな迷惑は掛けられないと思い、
一人で食堂に向かった。
着替えを済ませて食堂へ向かおうとしたら
痛覚を戻した足が痛んだため、
足を使わないで食堂へ行く方法を必死で考えた末に
「足が痛いなら逆立ちして行けば良いじゃない!」
という名案を叩き出したので、それを実行した。
多少奇異な目で見られたかもしれないが、
他人の手を煩わせるよりは良いだろう。
食堂に着いたら、兵士達が
「教官の分の食事取ってくるんで座って待ってて下さい」
と言って持って来てくれたので、彼らには感謝しか生まれない。