過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 前編】
第63章 気遣いと下心
「ナナシが・・・・・逆立ちしながら歩いて、食堂に来た」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・今、
何て?」
聞き間違いかと思って、ミケの胸倉を掴んでもう一度言わせたが、
彼の答えは変わらなかった。
「・・・それで今ナナシはどこで何をしている?」
大体予想はつくけども、一応問い掛ける。
「食堂で・・・朝食を取っている」
それを聞くや否や、エルヴィンは食堂へ駆け出した。
ナナシは一体何を考えているのかっ!
何針も縫って熱まで出ていたのに、軽率な行動を取るなんて!と
憤りを感じる。
食事を「アーン」で食べさせる私の夢を返せぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!!!!!!
鬼気迫る表情で疾走するエルヴィンを目撃した団員は、
その日の訓練で「あれを思い出せば巨人とも臆せず対峙出来る」
と語り合ったという・・・。