過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 前編】
第61章 あの人は太陽、あなたはまるで月のよう
エルヴィンだって、ナナシが強くなければ
きっと見向きもしなかったはずだ。
リヴァイもミケもハンジもナナバも・・・皆、
ナナシに利用価値があるから良くしてくれているのだ。
そう思っていなかったら裏切られた時、
ナナシは二度と立ち上がれなくなってしまう。
人間は移ろいやすく残酷だ。
でも一番残酷で臆病なのは、他人を信じ、
無条件で好意を寄せる事が出来なくなってしまったナナシ自身だ。
そんな自分が孤独を感じるなど勝手過ぎる。
「・・・・・・・肌寒いな」
もう十一月なので上着が無いままドレス姿で外にいるには寒く、
自然と身震いした。
このまま誰も探しに来なかったら・・・と、そこまで考えて、
それ以上考えることを止めたナナシは近づいてきた気配に頬を緩める。
どんな理由であろうとも自分に執着する男が、
自分を手放すはずが無かったのだ。