過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 前編】
第60章 私が取りたい手
「・・・・・実際、真っ先に連れて行かれたのって
ナナリーさんでしたよね・・・」
「うちらの方こそ何かオマケで連れて来られたような感じでした・・・・」
ショックを受けて肩を落とす彼女達にナナシは慌てるが、
この場合何と言って良いのかよくわからない。
要は男であるナナシが最初に手を引かれたのがショックなのだろう。
「・・・・一番連れ出しやすい位置にいたからではないのか?」
「位置的に両側にいた私達がそうなるはずで・・・・・いえ、
もうこの話は止しましょう」
「だが、お主らも一緒に来てくれて私は心強いぞ。
あと、頼めそうなのがお主らしかいなかったし、
一人ではどうにもならなかった」
そう言うと、彼女達はキョトンとした顔になった。
「それはナナ・・・リーさんに信頼されているって事ですか?」
「無論だ。こんな危ない橋を信頼できぬ輩と渡れるはずもない」
「そう・・・ですか。信頼してくれているんですね」
二人の表情が和らいだのでナナシは少しホッとしたが、
自分は調査兵団の兵士でも無い癖に何をやっているのだと
今更ながらに思った。
兵士とはいえ若い女性をこんな危険に巻き込むなんて・・・。