過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 前編】
第59章 兵士として、男として・・・
「よくも娘を取り返せず誘拐されたな!
これだから無能な調査兵団は廃止すべきなのだ!
巨人相手に手も足も出ないおまえらでも人間相手なら
勝てるだろうと踏んだ私の期待を無にしおって!いいか!
娘を助けられなかったら調査兵団を潰してやるからな!」
よくもまぁそれだけ上から物を言えるものだと、
怒りを通り越して呆れ果てる。
タキシードの上から立体機動装置を装着したエルヴィンは、
自分よりかなり低い位置にあるベッカーの顔を無表情で見下ろした。
「我らが無能である事は言われずとも巨人相手に身に沁みています。
ご令嬢と他の人質救出の為、我が調査兵団は尽力致しますので・・・・」
「他の人質などどうでも良い!私の娘を救ってくれれば
調査兵団の存続も、寄付も約束してやろう!
寛大な私はおまえがいくら無能でも娘の婿に・・・」
「光栄なお言葉ですが、私に貴方のご令嬢は不要です」
エルヴィンが放った冷淡な一言にベッカーは顔を赤くしながら
憤慨した。