過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 前編】
第59章 兵士として、男として・・・
「おぉ、エルヴィン!流石私の息子になる男だ。
さっさとその男を殺せ!」
勝手に勘違いしたままのベッカーが
強力な助っ人であるエルヴィンを見て強気になったが、
エルヴィンはベッカーを興味なさげに一瞥した後、
襲撃者へと向き直る。
「君達の目的は何だ?」
会場によく通るエルヴィンの声が響くと、
襲撃者はライフルをエルヴィンに向けながら叫んだ。
「俺を嵌めたベッカーを殺して、おまえら兵士の鼻を明かすことだ!
しかも、おまえはベッカーの娘の結婚相手だと?
なら、おまえも生かしちゃおけねぇ!」
「勘違いして貰っては困るが、ベッカー氏のご令嬢と私は
そういう関係には無い。私にはれっきとした婚約者がいる」
「だったら、そこを退けっ!」
「それも出来ない。銃口を向けられた一般人を見捨てる者は
人類に心臓を捧げた兵士では無いからだ」
「~~~~っ!!」
襲撃者はエルヴィンへ向けて何発か威嚇発砲したが、
普段巨人を相手にしているエルヴィンはそんな事では動じなかった。
相手をただ静かに見据えている姿は威圧感を与え、
そのやり取りに周囲が息を呑む。
全く退く気の無いエルヴィンに襲撃者は気圧されたが、
仲間の一人が人質に取ったベッカーの娘を連れてくると
口に弧を描いて勝ち誇った。
銃口を娘の蟀谷に当てながらエルヴィンを見据える。