過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 前編】
第59章 兵士として、男として・・・
確かに二十五人の見合い相手の中に
ベッカーの娘(次女)もいたかもしれないが、
先程その件に関して「婚約者がおりますので」と断ったはずである。
ベッカーがエルヴィンの隣に居たナナシを
蔑むような眼で見下していたのだって気づいていた。
そして頻りに自分の娘はそんな女よりも美人だし、気立ても良い。
纏わり付かれているなら自分が何とかしてやる。
万年貧乏な調査兵団にも十分な資金を提供してやろう・・・などとほざき、
密かにエルヴィンの怒りを買っていたのだ。
ベッカーの娘がエルヴィンのファンという事で、
親心からくっつけようとしていたのはわかる。
しかし、それでナナシを貶めるような発言をした男を
許すエルヴィンでは無い。
・・・例えそれを聞いていたナナシが気にしていなくても。
(ナナシはその時ひもじいと訴えていたので話を聞いていなかった可能性が高いが)
兎も角とんだとばっちりを受けたエルヴィンは、
三兵団や出資者がいる中その男を見捨てる事も出来ず
(本心は見捨てたい)、仕方なく人の輪から抜け
襲撃者とベッカーの間に立った。