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過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 前編】

第8章 邂逅





遠目で見えなかったその兵士の風貌が近づくにつれ
明らかになっていき、エルヴィンは驚愕に目を見開く。

銀髪に陶器のような白い肌、
人形のように整った顔立ちに見覚えがあり過ぎて、
人類に捧げたはずの心臓がバクバクと脈打った。


そんなはずは無い。


彼女に似ているが、昔と変わらない姿のはずが無いと自分に言い聞かせ、
冷静になろうと努める。


幼い頃、自分と出会ったあの彼女のはずは―――。


「・・・・・君」


微かに震える声で呼びかけると、
銀髪の兵士の瞼がゆっくり開けられ
エルヴィンの姿を捉えた。

ガラス球のような蒼い瞳は、記憶の中のその人と同じで
一層動揺が激しくなる。

暫くの間、何も話せずにいると
隣にいたミケが怪訝そうな顔でエルヴィンを見た後、
銀髪の兵士に話し掛けた。


「駐屯兵団の兵士か?」

「・・・違う」

「違う?ならおまえは誰だ?」


兵士かと思っていたら違うと答えられ、
所属と名前を問い質そうとすると銀髪は悪怯れる様子もなく
言い放った。


「それに答える義務は無い」


その言葉にミケは呆気に取られる。

自分達を調査兵団の団長と分隊長と知らなくても、
普通大男二人に囲まれたら萎縮するものだ。
それなのに小柄な・・・男か女かもわからない人物は
臆すること無く言い返してきた。

一瞬、身分の高いお貴族様がお家の威光で偉がっているだけかと思ったが、
纏う気配からそうではないらしい。

先程から一言も話さないエルヴィンも気になり、
そちらに視線をやるとミケはギョッとした。



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