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過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 前編】

第8章 邂逅




気配を殺し立体機動を操っている人物に近づいた二人は、
邪魔にならないような場所からその人物を観察する。

妙な動きをする小柄な兵士らしき人物は遠目から見ても、
とても若く見えた。
まだ兵士としての肉体が出来上がっていないような華奢な身体つきで、
もしかしたら女性なのかもしれない。

何かを書き込み、
ガスを噴射させ妙な動きを繰り返し、
また止まって何かを書き込む姿を見て、
ミケは片眉を上げる。


「・・・妙な動きだな。何がしたいのか行動に一貫性が感じられん」

「そう思うか?ミケ」


エルヴィンはいつも貼り付けている笑みを消し、
真剣な眼差しで小柄な兵士を凝視していて纏う空気も心無し
ピリピリしていた。

怪訝な顔で見つめていると、顔を上げたエルヴィンが
ミケに向かってニヤリと口角を上げる。


「君でも気づかないかい?あれはデータを取っているんだよ」

「データ・・・?」

「そう・・・恐らく主にガスの消費量とかだろうね。
実に細かくデータを取っているようだ」


エルヴィンの言葉を念頭に入れながらもう一度兵士を見ると、
妙な動きをした直後確かに何かを書き込んでいるようで
ミケは納得するように頷いた。

ガスの消費量の目安がわかるデータがあれば、
今後の壁外調査や訓練にも役に立つだろう。

だからミケの口から自然と「データを見てみたいもんだな」という言葉が出た。
エルヴィンも「同感だね」と笑みを深くする。



問題の人物に接触しようと足を踏み出した刹那、
遥か頭上の枝から地面に向けて落ちた兵士に
エルヴィンとミケは一瞬慌てたが、
ワイヤーがピンと張り地面スレスレで激突を免れたようだった。

もしかしたら、今の行動もデータ採取の一種なのだろうと
兵士の無茶苦茶振りに二人は息を吐き出す。

地面スレスレでハンモックに眠るように横向きにぶら下がる人物は、
また何か書いた後眠るように動かなくなった。


一休みなのだろうか?


それなら今が話し掛けるチャンスだと
ミケにアイコンタクトを送ったエルヴィンは、
その人物に向かって歩き出す。


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