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過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 前編】

第8章 邂逅





「エルヴィン、駐屯兵団から物資が貰えるというのは本当なのか?」

「あぁ、上に掛け合ったらピクシス司令が口添えをしてくれてね。
駐屯兵団からある程度の融通をして貰えることになったよ。
まぁ、どの程度かはこれからの交渉次第だが・・・」



思案顔で答えたエルヴィンは先程から手元の書類の確認に余念が無く、
足場の悪い森の道でよく転ばないなとミケは思った。

まぁ、そんな醜態を晒す男でもないか・・・と思い直し、
駐屯兵団が所有する森へ視線を投げる。

鬱蒼としたこの辺りの森はあまり使われていないと聞いていて、
それならば調査兵団に貸し出してくれれば良いのに・・・と思う。
常にどんな状況で戦闘するかわからない調査兵団としては
鬱蒼な森での訓練は有り難いものなのだ。


ミケの視線と考えを察し、隣に居たエルヴィンがクスリと笑う。


「ついでに、この周辺の森の貸出もお願いしてみようか」


悪戯っぽい笑みを浮かべたエルヴィンの顔を見て、
ミケがスンと鼻を鳴らす。
どこまで見透かしているかわからないこの男が味方で良かったとつくづく思った。





―――その時、
使われていないはずの森の奥から立体機動装置の音が聞こえ、
エルヴィンとミケは足を止めた。


「・・・誰か訓練でもしているのか?」

「あの森は見通しが悪くて危険な場所だ。
だから駐屯兵団も基本ベテラン以外は使わないと聞いている」


エルヴィンの言葉を聞いたミケは物言いたげに彼に視線をやった。
視線の意図に気づいたエルヴィンは肩を竦めると


「私も駐屯兵団の精鋭に興味があるよ。
時間はまだあるし行こうか」


と言って歩き出した。

視線だけでわかってくれる旧友に感謝しながら、
大男二人は森の奥へと歩を進めた。



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