過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 前編】
第55章 悪質
「僕は憲兵団に雇われているのですが・・・
いつも料理を残されてしまうんです。お酒の方が良いみたいで
ツマミを作ることが多くなってしまいました。
貴女のように『美味しい』とちゃんと感謝の言葉を言われたのは
久し振りで、とても嬉しかったです」
「勿体無いですね、こんなに良い腕をしているのに
活用されないとは・・・。料理を残したりするのは
調査兵団では考えられない事です」
「えっ!?貴女は調査兵団の方なんですかっ!?」
「正確には違いますが・・・・今調査兵団にお世話になっています。
調査兵団にはまともに料理を作れる人が少ない上、
シェフを雇う余裕も無いみたいです。今は憲兵団から
シェフを週三くらいで借りているようですが・・・・
嫌々やっている感じがあって、ここまで丹精籠もった料理を
口にするのは本当に久し振りです」
その言葉に青年シェフは同僚の顔を思い浮かべたらしく、
罰が悪そうに俯く。
反応からして、調査兵団に出向しているシェフは
色々と悪口を言っていたのだろうなと推察出来たが、
不平不満があって当然だろうと思えるので責めるような真似はしない。