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過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 前編】

第55章 悪質








「調査兵団は憲兵団と違って食料も貧相なものばかりなので、
献立を考えたりするのが難しいでしょう。まぁ金銭を取るか、
その道を追求するかは人それぞれですので私には何も言えませんが・・・」

「あ、あの・・・っ!」


青年シェフが何かを言おうとした瞬間、
ナナシの背中に何かの液体が掛けられビクッと身体を強張らせた。


「あぁ~すみません。手が滑ってお酒が掛かってしまいました」


顔を赤くし酔っていると思われる男がニヤニヤとナナシに
話し掛けてきたので、ムッとしながらも冷静に対応する。


「いえ、今度から気をつけて下さい」


男の手には空になったグラスがあり、
ワインか何かを故意に掛けてきたのは何となくわかった。

ナナシは呆然とする青年シェフに「何か拭くものは無いか」と問うと、
彼は慌てた様子でナナシに布巾を差し出してきたので、
それを受け取ろうと手を伸ばすと酒を掛けてきた男に布巾を
奪い取られた。


「申し訳ない。自分が濡らしてしまったので責任を取って
拭いて差し上げますよ、レディ」


そう言って近づいてくる男に嫌な感じがして、
ナナシは一歩下がる。


「おや?どうなさったんですか?その様子だと
下着まで濡れてしまったでしょう?乾かしに控室へ参りませんか?」


男の言う通り下着まで濡れてしまっているが、
男と控室に行く方が気持ち悪いと思い「いえ、結構です」と
言って距離を取る。


本当は殴り倒したいが、ここで問題を起こせばエルヴィンや
調査兵団に迷惑が掛かってしまうのでそれは実行できない。






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