過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 前編】
第54章 ナナリー
「ナイル、気安く私の婚約者に触れないでくれないか。
いくら君でも彼女は渡さない」
「おい・・・何言ってる?俺にはマリーがいるんだから、
そんな間違いは起こさねぇよ」
ぶっ飛んだ思考を持っているのは昔からだが、
今は違う方向にぶっ飛んでいやがるな、とナイルは思った。
よくこんな変人の婚約者になったものだとナナシへ
視線を向けたナイルはある事に気づく。
「やっぱおまえは銀髪の女が好きなんだな。
昔っからおまえは銀髪の女とばかり付き合ってたっけ」
思わぬ暴露にエルヴィンは眉根を寄せてナイルを睨みつけた。
「ナイル・・・余計な事は言わなくて良い」
「何だよ?本当のことだろう?」
エルヴィンが珍しく余裕の無い感じなのが面白くて、
ナイルはからかうように饒舌になる。
「しかも、どれも長続きしないってのが多かったな」
「ふぅーん・・・昔からモテていたんですね、エルヴィン」
一応人前なのでナナシが敬語で言葉を発すると、
エルヴィンの顔に焦燥の色が浮かんだ。
自分は感想を口にしただけなのに何をそんなに焦っているのだろうか?と
首を傾げているとエルヴィンが突然肩を掴んできたので驚く。