過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 前編】
第53章 マジかっ!?
現れたのは青み掛かった銀髪に、
紺色のドレスを纏った女だった。
二の腕までのロンググローブに、肩は出ているが
首元からきっちり露出を抑えたタートルネック型のドレス、
太腿まで豪快にスリットが入っていて
黒地のストッキングを履いた足が妖艶に見える。
それが普段のナナシとはかけ離れた美女であったことから、
その場にいた全員の思考が一瞬停止した。
「待たせたな。これなら男には見えぬだろう?」
――そんな!声まで変わって!
言葉を発した美女の口調は確かにナナシのものだったが、
聞き慣れたナナシの声とは違い女性のように高い声になっていた。
「・・・・・・・・・・ナナシ、か?」
エルヴィンが恐る恐る尋ねると、
女は眉を寄せて「当然だろ?」と溜息を吐いた。
―――――マジかっ!?
それが女装姿のナナシを見た全員の感想だった。