過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 前編】
第51章 純情
「これでナナシの女装が目も当てられねぇようなものだったら、
どうすんだ?エルヴィンよ・・・調査兵団の団長ともあろう人間が
男を連れて歩いてるとバレた日には
印象が悪くなるどころの話じゃねぇんじゃねぇの?」
そうなったら完璧なスキャンダルとなり、
数少ない出資者からの支援も無くなり、最悪エルヴィンは
団長の座も下りなければならなくなるかもしれない。
半分真面目に危惧するリヴァイに言葉を返したのはナナシだった。
「一応モブリットに確認してもらったら、
『誰も男だなんて思いません!』と言われたぞ?」
安心させるために発した言葉だったが、
全員から微妙な顔をされたのでナナシは「あれ?」と首を傾げた。
何か失言でもしただろうか?
「・・・・モブリットは既に君の女装姿を見たという事かい?」
「顔だけ化粧して見せたぞ?ドレスは試着するのが面倒だったから、
ハンガーに掛かけたまま見せたが・・・・」
エルヴィンはギリッと歯噛みする。
この兵団においてナナシの女装姿を一番に見るのは自分だ!と意気込んでいたので、悔しさが半端無かった。
まさか、『奇行種LOVE』なモブリットに先を越されるとは思わず、
今度から人畜無害そうな彼も危険視しておくべきだと
心にインプットする。
「それでモブリットは他に何と?」
「あー・・・」