過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 前編】
第51章 純情
「君が私の隣にいてくれるなら、途中抜けて
食事を取っていても構わない。必要な時居てくれればそれで良いんだ。
それにリヴァイと居ても食事は取れないよ」
リヴァイと一緒にいたら食事が取れない、という言葉に
ナナシは大いに反応を示した。
絶望に似た眼差しをリヴァイに向けた後、
考えるように目を伏せる。
それに慌てたのはリヴァイで「そんな事ねぇよ!」と
テーブルを叩いた。
「エルヴィン!ナナシに変な事吹き込むんじゃねぇ!
俺といた方が誰も寄って来ねぇんだから問題ない。
おいナナシ、エルヴィンといた方が食えねぇからな!」
「おや?君に貴族や商会の連中を上手く躱す話術があったとは
知らなかった。では、ここで私を論破してみろ。
まさかしつこい豚共に人類最強の拳を浴びせる気ではないだろうな?」
「・・・・・・・・・睨んで追い返す」
「その目つきが生意気だ、と難癖を付けられたらどうするつもりだ?
そんな事をしたら調査兵団の印象も悪くなりかねない。
ことの重大性がわかっていないようだなリヴァイ」
「・・・・・・・・・・・・・・」
変な難癖付けてきてんのはてめぇだろうがっ!!
ググっと青筋を立てながら我慢するリヴァイに、
ミケとハンジがその肩に手を置き、首を横に振った。
「諦めろ・・・エルヴィンには口で勝てない」
「もうさ・・・あんだけ必死になっちゃってるんだから、
大人らしく譲ってあげなよ。あれはもう幼児退行しちゃってるから・・・。
私は逆にエルヴィンが可哀相になってきたよ」
ハンジの言う通り、あれはもう幼児退行に近いだろう。
急に馬鹿らしくなったリヴァイは身を引いて舌打ちする。