過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 前編】
第51章 純情
「同伴者を見つけなければ・・・と困っているモブリットに
声を掛けたら、一緒に行きたい人がいるけど、
その人物はエルヴィンと行くので自分は行けないと相談を受け
・・・じゃあ、エルヴィンに言ってみてダメだったら
一緒に行こう、という話だった。あー・・・ショックの余り、
明日は寝込みそうだ。到底出かける気分ではない」
ちょっと、待て!
エルヴィンがハンジをモブリットに託さなかったら、
ナナシは彼と行く予定だったのかっ!?
唖然とする四人を尻目に、ナナシは「モブリットと一緒だったら、
料理も存分に食べられただろうに・・・」と悔しそうに呟いている。
一呼吸置いて我に返ったエルヴィンは、汗をかきながら
「危なかった・・・」と思った。
自分の選択は間違いでは無かったのだ。
という事は、今ナナシはフリー!
絶好のチャンスだっ!
「では、私と一緒に行こうナナシ。お互い一人なのだから
丁度良いじゃないか」
「おい待て、俺も一人・・・」
「ハンジをモブリットに譲った私に少しは慈悲を持ってくれても
良いんじゃないかな?」
リヴァイの言葉を強引に遮ったエルヴィンは畳み掛けるように
ナナシを口説く。
ナナシは少し考えるような素振りを見せた後
「でもお主と一緒に回ると、食事が出来ないだろう?」
と、眉を寄せた。
気になるところは、相変わらずそこなのか!と思いながら、
エルヴィンはナナシの手を握る。