過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 前編】
第51章 純情
「で?おまえは誰と行くんだ?
まさか一人とか言うんじゃないだろうな?」
ミケが気遣わしげに言う。
彼も調査兵団のトップが供を連れず行くのは
良くないとわかっているらしい。
エルヴィンは心配するミケに肩を竦めながら
「そのつもりだよ」と苦笑する。
「誰かさんが一緒に来てくれないからね」
エルヴィンがチラリと隣に座るナナシを見たが、
彼は特に表情を変えずお茶を啜っているだけだった。
「そういえば、ナナシは誰と行くの?誰かと一緒に行くって
言ってたよね?」
ハンジが持ち寄ったお菓子を食べながらナナシに尋ねると、
ナナシはカップをテーブルに置いた。
「たった今振られたのがわかった」
「え?」
「は?」
「あ?」
「ん?」
ナナシが何を言っているのか理解出来ず、
ハンジ、エルヴィン、リヴァイ、ミケは同時に声を上げる。
振られたってどういう意味だ?と全員でナナシを凝視していると、
彼は溜息を吐きながら「モブリットと行く予定だった」と
驚愕の事実を告げたのだった。