過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 前編】
第51章 純情
「いつかは・・・とは思っていたんです。
本当はこんな言い訳や理由を口実にせず正々堂々と
誘いたかったのですが・・・・これを切っ掛けに
今度はちゃんと分隊長を誘おうと思いました。
本当にありがとうございます!」
実直なその言葉にエルヴィンは目を瞬かせた。
モブリットが退室した後も、脳内にモブリットの言葉が
木霊する。
言い訳や理由を口実にせず・・・・
そんな青臭い事をエルヴィンは言えない。
言い訳や理由があった方が誘いやすいに決っている。
どんな手段や口実を使っても目的のためなら何でもするのが
エルヴィンのやり方だ。
いつの間に自分は初心を忘れていたのだろうか・・・?
もしかしたら最初からそんなもの無かったのかもしれないが、
エルヴィンは酷い空虚を抱く。
「・・・・・馬鹿馬鹿しい」
ポツリと零したエルヴィンは迷いを払うように
書類仕事に没頭した。