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過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 前編】

第7章 四人で・・・





四人はそれぞれ欲しい物を持ち帰り、
ヴィレムの廃屋で祝杯を上げた。

イザベルもファーランも上機嫌で酒を煽り、
リヴァイは静かに・・・それでも満足そうに酒を喉に流し込む。
ナナシもご相伴に預かり、ちびちび酒を舐めた。

この際、イザベルは未成年では?という野暮は言わない。


「しっかし、今日は良い稼ぎが出来たぜ。
これで当分危ない橋を渡らないで済む」

「地下街に住んでちゃ、こんな良い稼ぎなかなか出来ないもんなー」


ファーランとイザベルの会話を聞き、
確かにそうだろうな、とナナシは思った。

地下街は基本戸籍も無く、
碌な職も無いから窃盗や殺しをするしか生きていけない無法地帯だ。


「いつか大手を振って地上で暮らしてみてぇなー」


一攫千金や地上で暮らすことは、
ここでは手の届かない絵空事でしかない。

それでも人間はつい夢を見てしまう。
例え、どんなに望みが薄くても・・・。
目に見えている分だけ、余計に手を伸ばしたくなってしまうのは
仕方のない事だ。

ナナシはそれが悪いことだとは思わないが、
欲が深すぎると身の破滅を招くことを知っている。

だからナナシは高望みをしないようにしていた。


「なぁ、ナナシ。俺達の仲間にならないか?」


考え事をしていたら、突然ファーランにそう話を振られ一瞬反応が遅れる。

三人を見ると空耳では無かったようで、真面目な顔で見られていた。


「おまえは凄く腕が立つ。一緒に居てくれると心強いと思うんだが・・・」

「やっぱ、前言ったみたいにここを出て行っちまうのか?」


ファーランの会話を引き継ぐようにイザベルが言った。
コロコロ表情が変わるイザベルは、今は酷く悲しそうにしていて、
ナナシは目を伏せた。


「誘ってくれるのは嬉しいが・・・
私は一つの所に留まれぬのだ。すまない」

「・・・そっ・・か。じゃあ、またこの辺に来たら声掛けろよ。
アジトの場所も教えとくから!」

「あぁ、また会えたらな」

「会えたらじゃなくって、会おうって言えよ!」


ムッとしながら言ったイザベルにナナシは目を丸くする。



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