過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 前編】
第50章 日常的ストーカー
エルヴィンが
「どうやら彼らは別にナナシにちょっかいを出す気は無いようだ」と
安堵していると、女性兵士達がわらわらと集まってきた。
「団長~。団長も美容に興味があるんですか~?」
「もし良かったら私の使っている化粧水使ってみませんか?」
「あ、ずるい!私の使っているヤツの方が高級なので、
きっと団長の肌に合うと思います!」
「そういえば、この前団長に似合いそうな香水が
売っているお店を見つけたんですけど~」
などと言って詰め寄ってくる女性兵士にエルヴィンは
少し押され気味になる。
ここで下手な行動に出てしまったら、
対人格闘講義という名の制裁をナナシから受けるだろう。
その上、二度と講義に立ち合わせてもらえないかもしれない。
エルヴィンは完璧な笑顔を貼り付け、
女性兵士達の話を聞く振りをして密かに『助けてくれ』と
ナナシにアイコンタクトを送った。
そのアイコンタクトにナナシはすぐ気づいたようだったが、
稀に見る笑顔で『バイバイ』と手を振られてしまい、
ナナシの貴重な笑顔を見れたことに喜びを見い出せば良いのか、
見捨てられた事を嘆けば良いのかわからなくなるエルヴィンだった。
「団長、そういえばナナシさんに聞きたいことがあると
仰っていましたよね?」
「あぁ、確認を取りたい事案があったね。少しナナシの所へ
行ってくるよ」
困った様子を見たモブリットが機転を利かせてくれ、
エルヴィンは野獣の群れ(仮)からの脱出に成功した。