過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 前編】
第50章 日常的ストーカー
「ナナシは嫌がっているんだから無理強いしない!
今回は諦めていつも通りハンジを連れて行きなよ」
「えっ!?あたしっ!?」
突然名前を上げられたハンジは「面倒くさい~」と言ったが、
ナナバはそれを無視する。
「ナナシに聞いたけど、女装して懇親会に来てくれるだけでも
有り難いと思わなきゃダメだよ。いきなり貴族や商会の娘と
同じ土俵に立たせるって、かなり横暴だからね?
その点、ハンジなら神経が図太いから安心出来るけど・・・」
「それ・・・褒めてるの?貶してるの?」
「褒めてるよ、ハンジ。エルヴィンの隣に立つって
色々なプレッシャーで普通は押し潰されるもんなんだよ」
特に嫁候補二十五人の嫉妬渦巻く視線に晒されるのだから
ハンジくらい度胸がないと無理だ、とナナバがエルヴィンに力説すると、
彼は少し目を伏せ何かを考えているようだった。
「・・・・わかった。今回はハンジで妥協しよう・・・・
とても不本意だが・・・・」
「ねぇ!さっきから勝手に話が進んでるけど、
あたしの意志はどうなるのっ!?妥協って何!?
不本意なのはあたしもだからねっ!?」
ハンジがぎゃんぎゃん騒いでいたが、全員それをスルーする。
やっと諦めてくれたか・・・と安堵していると、
エルヴィンの目に強い光が宿った。
「ただし、ナナシの傍にリヴァイとミケが近づくことは
許可しないぞ」
「・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・」
この前出し抜いたことを根に持っているな・・・とミケは思った。
リヴァイはある意味良い巻き添えだったので仏頂面で
エルヴィンを睨んでみたものの、彼には何の効果も無かった。