過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 前編】
第50章 日常的ストーカー
―――懇親会まであと二日に迫った。
・・・にも関わらず、エルヴィンはナナシから同伴の約束を
取り付けられていない。
「・・・ナナシ、昨晩は一体どこにいた?部屋にいなかっただろう?」
「・・・・・・・・・・・・」
夕食の時間、いつものようにナナシの隣の席を
陣取っていたエルヴィンが問い掛ける。
「一昨日の晩も、その前の晩も部屋にいなかったね。
一体どこに行っていたんだ?」
おい、待て!
ということは、おまえは連日連夜ナナシの部屋に
押し掛けてたってことじゃねぇか!
・・・と、同じように食事を取っていたリヴァイ、ミケ、
ハンジ、ナナバが心中でツッコむ。
口には絶対出せないが、表情が若干曇るのは勘弁してほしい・・・。
我らが団長がただのストーカーだと知らされた身としては、
心の整理時間が欲しいのだ。
食べていた物を咀嚼したナナシが、恐ろしい程無表情で
淡々とその問いに答える。
「五日前の晩、変態ストーカーに襲撃を受けた私は
自室で寝るのが危険だと判断した。・・・ので、
それ以来寝床を転々としておる」
「一体誰だ?君を襲撃したという不埒な輩は。許せないな」
おまえだよ!エルヴィンっ!!
話を聞いていた四人は本当に居た堪れなくなった。