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過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 前編】

第7章 四人で・・・



窓の鍵をファーランがピッキングで開け、
四人は室内に侵入する。

室内や近くの部屋には人の気配を感じず、
そこで経路を確認した。


「俺達が今いるのはここの部屋だ。
警備の巡回は一時間に一度って事だから、
下手でも踏まない限り見つからないだろう」

「見つかった場合は殺すだけだ」

「派手にやってくれるなよ、リヴァイ」


ファーランとリヴァイの会話を耳に入れ、
手馴れているなと少し思ったが、
ここでそんな事言っても仕方ないので黙っておく。


四人は気配を殺しながら宝物庫近くまでやってきたが、
廊下の角から宝物庫前を窺うと部屋の前には五人の警備がいて
どうするかと相談し合った。


「五人か・・・。廊下の突き当りの宝物庫まで約十メートル。
だだっ広いお屋敷は本当にムカつくな」

「声を上げさせないまま殺すってのは到底無理な距離だな」

「どうすんだ?兄貴」

「・・・・隠密行動を放棄して殺るしかねぇだろうな」


再度確認しても宝物庫へ通じる道はここしか無く、
その上窓や部屋も存在しない。
多少のリスクを背負っても強行突破しか無いだろうと
リヴァイとファーランは語った。


「待て、私が殺る」


それまで黙って聞いていたナナシが挙手すると、
三人は「どうするんだ?」という視線を向けてきたが
「まぁ、見ていろ」と黙って見守らせる。


角から廊下に躍り出て、そのまま五人を仕留める術をナナシは持っていた。

だから、焦る事無く宝物庫へ続く廊下に出て、
相手がナナシを視認する前に距離を詰め、
隠し持っていた黒い刃を目にも留まらぬ早さで警備員の首へ這わせた。

一気に五人の首を斬ると、死体は悲鳴も上げず床に転がる。
その一連の動作は一秒にも満たない早業で、
警備員は自分が死んだことすら気づかなかっただろう。


リヴァイ達三人は人間業とは思えない早業で見張りを殺したナナシに
言葉を失った。
どうやって十メートルの距離を一瞬で移動したのか、
どうやって五人の命を一瞬にして奪ったのか・・・見ていたはずなのに
全く見えなかった動きに、ただ驚愕するしか無い。


特にリヴァイは魅入るようにナナシを見つめた。
リヴァイの動体視力は相当良い。
それでも見えたのはナナシの残像だけだった。
ナナシの身体が見張り五人の身体を透けるように移動したと思ったら、
彼らは絶命していたのだ。
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