過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 前編】
第7章 四人で・・・
―――襲撃日、当日。
ナナシとリヴァイ達三人は、館の物陰に身を潜めていた。
夜陰に乗じて館に侵入するため、邸内の様子を窺う。
気配を探って目的の三階には十人程の警備がいるようだと
三人に伝えると、彼らは目を見開いて驚いているようだった。
「何でそんな事わかんだよ?」
「気配で」
「普通こんなに距離があったら気配なんてわかんねぇよ・・・」
普通の人間には出来ない芸当をやってのけてしまうナナシに
ファーランは呆れたように言った。
「それより、ナナシ。本当に立体機動無しで三階まで行けんのか?
何なら俺が抱いてってやろうか?」
イザベルが心配そうに言ったので、ナナシは首を横に振って
「問題ないから先に行け」と促す。
今日のナナシは全身黒ずくめの忍者スタイルで、
動きやすさを重視した服装だった。
それを見た時のリヴァイ達の反応は固まって言葉を失っているようだったが、
押し入るのに見目を気にしていたら負けだと半ギレ状態で反論してやったら何も言ってこなかった。
「・・・先に行くぞ」
「お先~」
「ナナシも早く来いよ」
リヴァイ、ファーラン、イザベルの順で館のバルコニーへ上がって行ったのを見届け、
ナナシも両足の筋肉を筋肉操作で強化し跳んだ。
本当に直ぐ様やってきたナナシに、三人は驚愕の表情で出迎える。
「おいおいマジか。どうやって来たんだよ」
「立体機動無しですっげーな」
ファーランとイザベルは感嘆の声を上げたが、
リヴァイは探るような眼差しを向けてくるだけで何も言ってはこず、
邸内の気配を探ることを優先したらしい。
そんなリヴァイの様子にファーラン達も気を引き締めて、
同じように気配を探った。