過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 前編】
第48章 秘められていた想い
――その時、
ギスギスした室内にノック音が響いた。
エルヴィンはすぐ団長の顔の戻ると、
平然とした態度で「入れ」と来訪者を迎え入れる。
「遅いのに灯りが点いてたと思ったら、皆でここにおったのか・・・」
入ってきたのは、三人がギスギスする原因を作った
張本人のナナシだった・・・。
途端、三人は気まずくなり、視線を彷徨わせる。
正直、今ナナシの顔は見たくなかった。
そんな三人の様子に気づかないナナシは執務室の奥へ進み、
リヴァイには黒色、ミケには緑色の腕輪を差し出した。
「今さっきやっと出来たところなんだ。不具合があればすぐに
直すから言ってくれ」
「・・・あぁ」
「・・・わかった」
腕輪を受け取っている背後でエルヴィンの機嫌が
更に下降しているのがわかり、居心地が悪くなる。
エルヴィンは殊更低い声色でナナシに尋ねた。
「ナナシ・・・君は今日ミケとリヴァイに抱きついたそうだね?
しかも、その全裸を舐めるように見たらしいじゃないか」
鈍感なナナシでも、やっとエルヴィンの不機嫌さに気づいたようで
少し視線を彷徨わせる。