過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 前編】
第48章 秘められていた想い
「何故、今更・・・・」
「あぁ・・・本当に今更で、おまえにはすまないと思っているが、
言っておいた方が良いと判断した。
おまえの気持ちを知っているのに、俺の気持ちを教えておかないのは
フェアじゃない。ついでに、あともう一つ言っておきたい事がある」
「・・・・・・・何だ?」
「多分、俺がナナシを想っている気持ちはおまえとは
微妙に違う・・・と思う」
ミケの言葉にエルヴィンは「どういう事だ?」と
話の続きを促した。
「まだ、この気持ちに気づいたばかりで正直戸惑っているんだが、
俺はどちらかと言うとナナシを大事に見守っていたいという
気持ちの方が強い。自分の気持ちを・・・押し付けようとは
思わない。あいつが幸せなら、エルヴィンとくっついても
構わないとも思っている・・・・少なくとも、今は」
自ら進んで手を出そうとは思わないが、
エルヴィンや他の人間の態度次第では傍観スタイルを捨てる
というミケに、エルヴィンは大きく息を吐いた。
危険度は変わらないが、積極的に口説くつもりが無いというのは
救いかもしれない、と考える。
どうやらミケは自分の言いたい事を全部言ったらしく、
いつもの無口な彼に戻り、リヴァイに目を向けた。
エルヴィンもリヴァイに視線をやり、
「おまえはどういうつもりなんだ?」と無言の圧力をかける。
リヴァイは舌打ちした後、面倒臭そうに話し始めた。