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過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 前編】

第6章 一触即発



辛い・・・。


大手を振って『友達』だと、
・・・『仲間』だと言えたならこんなに苦しい思いは
しないで済んだはずだ。

特にイザベルは裏が無いので、本心から友達だと言ってくれているのが
わかっていたから辛かった。

あの娘はきっと将来良い女になるだろう。

明るく、人を惹きつけるような娘になって・・・・
幸せな未来がきっと待っている。

リヴァイやファーランが一緒なら、地下街にいても心細くは無いだろうし、
最悪な不幸が訪れるとは思わない。




廃屋の敷地から出ようという所で
ナナシは背後から強烈なタックルを受け、驚いて自身の腰に目を向けると、
そこにはしがみついているイザベルがいた。

俯いていて顔はよく見えないが、鼻を啜る音が聞こえてきたので
きっと泣いているのだろうというのはわかった。


「・・・おまえ、俺の事嫌いなのか?」

「・・・・・・嫌いでは・・・ない」

「じゃあ、何でダチになってくれないんだ?」

「それは・・・・」

「俺はおまえの事が好きだ。そりゃ、最初は嫌な奴って思ったけど、
おまえは俺の無神経さにも怒らなかったし、
今日もこうして菓子をくれたから悪い奴じゃないってのはわかってる。
何か理由があるのかなって考えても、俺は馬鹿だからいくら考えたって
言ってもらえなきゃわからねぇんだ。
悪い所は直すから、俺とダチになってくれよ」


ナナシはグッと言葉に詰まる。

何故イザベルがここまで自分と友達になりたいのか理解できなかったが、
彼女の真っ直ぐな言葉はナナシの心を抉るのには充分な破壊力を持っていた。

言い淀んでいる間も、自分の腰に手を回しているイザベルの手に
力がどんどん籠っていて、彼女が僅かに震えているのに気づく。

相手を傷つけて距離を保とうとした自分が心底嫌になりながら、
ナナシはイザベルの腕を解くと、彼女と正面から向き合った。


イザベルの顔は涙と鼻水で汚れていて、
懐から取り出したハンカチでその顔を拭いてやった。


「娘がそんな面をしていては、男が寄ってこんぞ?」

「うっせーな・・・。おまえが・・・意地悪するから・・・」


苦笑しながら「私が悪かった」と告げると、
イザベルはその先に答えを促すような瞳を向けてきたので、
ナナシは降参する。


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