過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 前編】
第46章 変態が絡む理由
「ナナシは・・・出会った時から人形のように無表情だった。
だが、共に過ごす内に押し殺しているだけだとわかったんだ。
だったら、どんな手段を用いても彼の感情を引き出したいと考えた。
それが怒りであろうと何だろうと、押し殺しているよりは
発散させた方が良いはずだからね。そうでなければ、
いずれナナシが潰れてしまうだろう。
それに何の興味も感情も持たれず彼の瞳に映らないなら、
憎悪を向けられ嫌われた方がマシさ。
どんな形であっても『興味』があるという事実に変わりない。
一番なのは愛されることだろうが・・・悔しい事に
私は彼の中での一番にはなれそうに無い」
エルヴィンの意外な言葉に三人は目を見張る。
そんな風に考えた上での行動だったとは思わなかったからだ。
ただ単純にナナシを口説いて、気まぐれにセクハラして、
最終的には自分に惚れさせて、駒として使おうとしているのだと
思い込んでいたので、ナナシの事も考えた上での
行動だったという事実に驚くしかない。
少々歪んだ愛情だが、エルヴィンは皆が思うより
私生活は不器用なので、ナナシを想う心は本物なのだと思えた。