過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 前編】
第46章 変態が絡む理由
リヴァイが地を這うような声色で説教(?)を始めたので、
ナナシも自分の非を素直に認め謝罪する。
「リヴァイ!言うべき所はそこじゃないよ!」と
ツッコまれそうなものだが、生憎ともうここには
誰一人エルヴィンへの暴力を止める者はいない。
ミケは鼻を鳴らすと、ナナシへ向き合った。
「ナナバから聞いたが、菓子を作ったら俺にも分けてくれ。
それが掃除分の対価だ」
「わかった、ミケ。エルヴィンの分を減らしてお主の分も追加しとく」
ナナシは『お菓子をあげる人リスト』にミケを加える。
さっき恋愛相談に乗ってくれたエルドにもあげようと考えていると、
床に転がっていたエルヴィンが勢い良く起き上がった。
「私の分を・・・減らすのか?ナナシ・・・」
悲愴感漂う表情は投げ飛ばされたダメージでは決して無い。
むしろ自分の取り分を減らされた心のダメージだろうな、と
ナナシ以外の全員が理解していたが、自業自得なので
弁護などしなかった。
兵団内外のエルヴィン・スミスファンが見たら、
さぞがっかりする光景だろう。
いつもは完全無欠の男なのに、ナナシを前にすると本当にダメ男である。