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過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 前編】

第45章 恋愛相談と恋愛観







実はエルヴィンは、ナナシとエルドの会話を聞いていた。

ナナシを探して歩いていたら、
森の中で話し込む二人の姿を見つけ息を殺しながら、
そっと聞き耳を立て様子を窺っていたのだ。

途中からだったが、ナナシがエルドに恋愛相談をしているのは
すぐにわかった。

そして「恋愛対象の意味がよくわからない」と話していたナナシに
エルヴィンは気づいたことがある。



『愚鈍の恋愛観』と思い込んでいたエルヴィンだったが、
ナナシは恐らく『愚鈍』では無い。



確かに抜けていたり鈍い部分もあるが、
そうでなければならなかったとしたら?という考えを持った。

昔はきちんと恋愛が出来ていた(らしい)事から、
そういう仮説も十分立つだろう。

本能的に自分への好意を感じ取った瞬間、
それを無かったことにしなければ精神の安定が計れない・・・とか。


それと同時に自分が抱いた『愛情』や『恋情』が一定値をオーバーすると、
その全てを無かったものとして切り捨てているとしか思えなかった。

そもそも相手の事を思いやれるナナシが、
自分へ向けられる好意に気づかないはずもなく、
自分が相手をどの程度想っているのかわからなければ
人と接する距離感を測るのが難しいので、
集団生活をしている上で出来ないはずが無いのだ。

ハンジやリヴァイのように我が道を行き、
空気を読まなくても大丈夫な神経を持っていれば別だが、
ミケから聞いた話を総合すると、ナナシの神経は
とても繊細なものである。


恋愛事にやたら消極的で、諦めのような考えを持っているナナシに
常々疑問を抱いてきたが、エルヴィンの中で
パズルが少しずつ組み上がるように形を成していった。



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