過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 前編】
第45章 恋愛相談と恋愛観
「ナナシ・・・先程は私が悪かったよ。
どうか許してもらえないか?」
跪いてナナシの手を掬い取りながら謝罪するエルヴィンは、
絵本の中の王子様のように格好良い。
大体投げ飛ばしてしまったナナシも悪いのだから、
エルヴィンがここまで下手に出て謝る必要はどこにもないのだ。
自分の心の狭さに嫌気が差してきゅっと唇を噛むと、
「血が出てしまうから噛んではいけない」と
エルヴィンの長い指が唇に触れてきて、
驚きの余りビクッと身体が強張ってしまった。
その様子を見てエルヴィンは困ったような顔をしながら、
すぐに指を引っ込める。
「・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・」
自分もちゃんと謝りたいのに、どう切り出せばよいのかわからず、
無言になってしまう。
気不味くて目を伏せるナナシに対して、
エルヴィンの瞳は真っ直ぐナナシを捉えていた。