過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 前編】
第45章 恋愛相談と恋愛観
「家を買うからそこに住むか、
家族というべき彼らを追い出すように言われた挙句、
『愚鈍な恋愛観』と評され、カチンと来て・・・・・
投げ飛ばしてしまった。私はどうすれば良いのだろうか?」
投げ飛ばしたって・・・団長を、ですか?
マジで勘弁して下さいよ。
確かに『愚鈍な恋愛観』って言うのは酷いと思いますが、
そう言われても仕方ないくらい鈍いじゃないですか。
多分、団長もいっぱいいっぱいだったんだと思いますよ。
心の中でエルヴィンを弁護するものの、
エルドはそれも口に出さなかった。
心の声を垂れ流せば、恐らく自分も投げ飛ばされるだろう。
そもそもエルド(やリヴァイ班)は、
エルヴィンの気持ちは知っていても、
ナナシの本当の気持ちを知らない。
だからエルドは核心を衝く質問をした。
「ナナシさんは、Bさんの事をどう思っているんですか?
恋愛対象として見れないんですか?」
「・・・え・・・・?」
「この際、Aさんの事は置いておいて下さい。
最初からいないものと考えて下さいね」
エルドにそう言われナナシは固まる。
ナナシの全てはソロモンから始まるので、
もしも彼がいなかったらという前提など考えたこともなかった。
ソロモンがいたからこの世界に来て、留まり、人として暮らしたのだ。
そして彼の死後もその遺体を集めるため奮闘している。
ソロモンがいなければ、エルヴィンとも出会わなかったし、
調査兵団にも来なかっただろう。
エルドはその固定概念を捨てて考えろと言っているのだろうが、
ナナシにとってそれは難しいものだった。