過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 前編】
第44章 変態と鈍感
「会った時に、兄代わり親代わりのつもりだけど、
実は恋人候補だって言ってたね。しかも他にも恋人候補が
四人いて修羅場中だって・・・・」
「あれはただの冗談・・・」
「・・・には聞こえなかったわ、あたし。
あれ絶対本気だと思うよ?」
室内に重い沈黙が落ちる。
壊れた窓から吹く風で書類が舞うだけで、誰も動けない。
やがて、大きく息を吐いたエルヴィンがペンと紙をナナシに渡した。
「今から君の家にいる男の事を、この紙に書きなさい。
五人分全部だ」
「・・・え?何故・・・・」
「良いから、書け。命令だ」
謀略を巡らせて相手を貶める団長の顔になったエルヴィンに
逆らえず、訳がわからないまま紙面と向き合う羽目になった。
先程までの変態スミスは一体どこへ行ってしまったのだろうか?
・・・しかし、眷属について何を書けば良いかわからず、
ナナシは五人の特徴を簡潔に書き記した。