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過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 前編】

第6章 一触即発



重く息を吐き出し戦闘態勢を解くと、
ナナシは適当に腰を掛けリヴァイ達に「座れ」と促した。

不本意そうにしながらもリヴァイがそれに従うと、
イザベルも倣うように腰を下ろす。

一連の動作を見ていたファーランも二人の短時間ながら
凄まじい攻防にぶるりと身体を震わせると、
リヴァイに倣い座った。



その様子を見て、ナナシは三人に饅頭を差し出すと、
自身も饅頭を食べ始めた。

我ながら良い具合に餡が作れたな、と饅頭の出来栄えに満足しながら、
リヴァイ達をどう納得させるか考える。

リヴァイからは殺気の籠もった眼で睨まれ続け、
ファーランからも警戒心剥き出しの視線を送られてしまっているので、
どうすれば一番面倒ではないか考えを巡らせた。

イザベルに至っては、気まずさが全面に出て
しょげてしまっているようにも見える。



そこら辺の瓦礫にそれぞれ座り饅頭を頬張りながら、
ナナシは頭の中で状況を整理して口を開いた。


「稼ぎの良い仕事を私に取られて喧嘩を売ってきたという解釈で
良いのか?」


唐突にそう話を振られて反応が遅れたが、
ファーランがそれに答える。


「あぁ、そうだ」

「一応訂正しておくが、これは元々私の仕事だったのだ」

「どういう意味だ?」

「んー・・・つまり、私が多忙でいつここに来れるかわからなかったので、
クレイグは腕の立ちそうなお主達に依頼してしまった・・・
という事なんだが」

「そっちの都合なんて知るかよ。こっちだって稼ぎが無きゃ
生きていけねぇんだ」


退いてくれる気配の無いファーランにナナシは更に考える。

先程見たリヴァイの腕は相当なもので、
何故こんな地下街に燻っているのか疑問に思うくらいだった。

それを踏まえた上で、交渉役らしいファーランに尋ねる。


「お主達は、どんな仕事内容かクレイグに聞いたのか?」

「・・・それを聞く前にあんたに仕事取られたんだ」


クレイグにも聞いた通り、ギリギリまで情報を与えるつもりは無かったのだと、
彼の慎重な性格を思い出す。

ふむ・・・とまた少し思案したナナシは、
ファーランだけでなくリヴァイやイザベルにも顔を向けた。



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