過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 前編】
第43章 ナナシの眷属
「――ナナシっ!?」
走ってきたのはハンジとナナバで、
突然姿を消したナナシを探していたらしい。
しかもその探し人が、見知らぬイケメン青年と一緒にいたのだから
彼女達は目を見開いて驚いているようだった。
「突然消えたからどうしたのかと思っちゃったよ。
・・・ところでその人は誰?知り合い?」
ナナバがツクモを頭から爪先まで見て、
じっくり観察しているのがわかった。
探るように見られたツクモは特に気分を害する事もなく、
ふとある事に気づきナナシへ顔を向ける。
「・・・へぇ、今『ナナシ』言うんやな。
じゃあ、これからは『ナッちゃん』って呼ばせてもらおうかな」
ナッちゃん・・・。
何故にそうなる!?と思ったが、面倒くさいので
そのまま呼ばせることにすると、ツクモはナナバ達に
笑い掛けた。
「初めまして、ツクモと言います。
うちのナッちゃんがいつもお世話になっているようで・・・・」
ペコペコと頭を下げるツクモにナナバ達も反射的に頭を下げた。
「『うちのナッちゃん』って事は・・・ナナシの家の人?」
恐る恐る尋ねてくるハンジにナナシが肯定を返すと、
二人は更にツクモを凝視した。