過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 前編】
第43章 ナナシの眷属
「醤油とかの調味料、もしくは肉などの食べ物系があると
有り難いな。お菓子作りとか良い息抜きになるからな」
「さようか。・・・ところで、料理とかして一人で食べるん?」
ニコニコしながら問うツクモの空気が少し張り詰めたのがわかり、
答えを濁していると彼は手で顔を覆いながら
泣く仕草をし始めてしまった。
「また男!?どうしてあんたは人間の男に惚れてまうの!?
何?調査兵団にいる奴なん?一体どこのどいつが
俺達の主を拐かしたの!?」
何故か眷属達はナナシの交友関係(特に男)には口五月蝿く、
誰かに何か作ってあげるだけでも大騒ぎをする。
ソロモンの時も眷属達が闇討ちしようとしていた過去があり、
ナナシとしては調査兵団の交友関係を知られたくなかったのだ。
厄介なのは眷属達が一瞬で現れて闇討ちし、
そのまま異世に逃げ帰る事が出来てしまうことである。
長く留まれない分、
ヒット・アンド・アウェイをやれてしまうのだから質が悪い。
「別に惚れている訳では無い。情報が得られそうだから
留まっているだけだ」
「じゃあ、殺し・・・」
「・・・したら、本気で怒るぞ?眷属までルールを犯して
どうする!」
面倒くさいな、と溜息を吐いていると、
表通りの方から見知った気配がバタバタと駆け寄ってくるのを感じ、
そちらへ視線をやった。