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過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 前編】

第43章 ナナシの眷属







「俺は・・・あんたが無茶して酷い目に合わへんのなら
自由にしたらええと思っとる。でも、他の連中は多分黙ってないで?
それに『異世』の妖連盟から警告も来とる。
『人間に深入りするな』と」


ツクモの言葉を聞いてナナシは苦笑する。

他の眷属達も気になるが、それよりも『妖連盟』というものが
厄介だった。

一応『異世』にもルールがあり、
他世界への干渉や人間との交流は良しとされず、
ナナシはその禁を破ってまでこちらの世界にいたので、
いつか連盟から何らかの制裁があるだろうと覚悟していた。

だが、ナナシは連盟に罰せられたとしても
ソロモンの心臓を取り戻す必要があった。


ソロモンの心臓こそ禁忌の証で、
もしもこの世界に残したままにしてしまったら大変な事になってしまう。

異物を残しておく訳にはいかない。
何としてもソロモンの心臓をこの世界から消さなければならない。


「ツクモ、このまま私の眷属でおったら巻き添えを食らうかもしれん。
他の連中もそうだが主従の契約を解除・・・」


ナナシが言い終える前に、ツクモの大きな掌で口元を塞がれ、
ぐいぐい壁際に追い込まれた。

ツクモの顔を見上げると怒っているような、
悲しんでいるような複雑な表情をしていて、言葉に詰まる。


「せぇへんよ。あんたからそんな事も聞きとう無い。
俺の主はあんただけや。だから二度と言わんといて」


その言葉に静かに頷くと掌が離れ、
ツクモは「はぁ・・・」と大きな溜息を吐いた。


「あんたの覚悟は理解した。俺は変わらずあんたをサポートする。
それでええな?」

「すまぬ。いつも苦労をかけるな」

「欲しい物とかある?あるんなら、あんたの『倉庫』に補充しとくで」


彼の言う『倉庫』とは普通の倉庫とは違い、
異世の物をナナシが好き勝手に出し入れ出来る便利な代物だ。

某ネコ型ロボットの四次元ポケットに近いだろう。

ナナシの場合、ポケットでは無く自身の影から取り出すのだが・・・。

ナナシは必要な時、その倉庫から服や食料などを取り出して
使っているのだ。

眷属達の協力無しでは、この世界で生きていくのは
難しかったかもしれない。






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