過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 前編】
第43章 ナナシの眷属
「主のあんたがいつまで経っても帰って来んから迎えに来ただけや。
他の連中も首を長うして待ってるで」
「・・・あー・・・その事なんだが・・・」
「ん?」
言い淀むナナシにツクモは首を傾げたが、
半年は帰らないと告げると物凄い勢いで肩を掴んできた。
「え!?えっ!?何でなん!?もうその身体辛いやろっ!?
何かあったんかっ!?あかんで!俺は許しません!」
ツクモはとても過保護で・・・ナナシの家ではおかん的存在だ。
なので、いくらナナシが彼の主でも
「ダメなものはダメ!」と説教もかましてくる
(エルヴィンとは違った意味で)厄介な男だった。
「心臓の情報が手に入るかも知れぬのだ。
半年の契約で今は調査兵団で戦い方を教えながら
情報収集を・・・」
それを聞くとツクモは真剣な表情でナナシの顔を見つめた。
ナナシがある日突然人間に惚れた事も、
その相手が死んでその死体を集めている経緯など全てを知っていたが、
ツクモも妖なのでこの世界に長く留まることも、
ナナシの助力になる事も出来ない。
時折、必要物資(食べ物や服など)の支援が出来るくらいだ。
自分がこの世界ではナナシの力になれないので、
心臓探しに心血を注いでいる主を止めることも出来ない。