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過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 前編】

第6章 一触即発




背後から「おまえらでは敵わんぞ、やめておけ」という
クレイグの言葉が聞こえたが、それが一層ファーランの神経を逆撫でる。

リヴァイが一番強い事を証明したいとファーランは必死で後を追うが、
どれだけ足が早いのか見失ってしまい肩を落とす。


「おい、深追いするな。落ち着け」


追いついたリヴァイがそう声を掛けるが、
ファーランの気が収まらない。


リヴァイを侮辱されたという怒りで血が上っていたのだ。


再度リヴァイが「落ち着け」というと、
ファーランは深呼吸して何とか平静を取り戻し、
罰が悪そうな顔を向けた。


「わりぃ…昨日から、らしくなくて…」

「気にするな…」


見失っちまったし、どうすっかな~とファーランが伸びをしながら言うと、
リヴァイはイザベルを迎えにいこうと提案した。

ファーランもあの人物を追いかけてどうこうしようとか
具体的に決めていた訳でもないので、反対する理由もなくリヴァイに賛成する。

大金を得るチャンスを失ったのは惜しかったが、
クレイグもリスクが高いと言っていたので
今回は諦めるしか無いだろうと冷静になった頭でそう考え直した。




廃屋へ近づくにつれ、段々と明るいイザベルの声が聞こえてきたので、
無事友達に会えたのだろうとリヴァイとファーランは安堵した。

あんな美味い菓子を作ったのがどういう人物なのか興味津々だった二人は、
瓦礫の隙間から顔を覗かせイザベルを呼んだ。


「あ、兄貴!ファーラン!」


嬉しそうに駆け寄ってきたのは可愛い妹分で…彼女と一緒にいたのは
先程クレイグの店にいた銀髪の人物だった。

それを認識した瞬間、リヴァイとファーランは固まった。

何故こいつがここにいるのか、と。

ファーランは頭をフル回転させ、どうにかして今回の仕事を此方へ流させようと考えた。

密かにリヴァイに目配せして、ゆっくり二人へ近づく。


「なぁなぁ、コイツまたお菓子作ってきてくれたんだ!
今度のはマンジュウって言うらしいぜ!」

「へぇ、美味そうだな」


明るい笑顔で話し掛けてきたイザベルに合わせるように
ファーランもニコニコ笑いながら、ナナシの傍へ腰を下ろし
昨日の団子の礼も言う。

リヴァイもナナシの正面に腰を下ろし、
ナナシの様子を窺った。

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