過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 前編】
第41章 秘密の共有と隠し事
「・・・成程。ソロモン団長が既に長距離索敵陣形の原型を
作り上げていたとは驚きだ。それがきちんと調査兵団に
伝わっていれば、失われなかった命も多かっただろうに・・・。
信煙弾の代わりに使っていたという脳波電信というものにも
大変興味が唆られる」
「もう使えないがな・・・」
「それが酷く残念だよ。・・・ところで、
ソロモン団長の最期は知っているが、副長・・・後の代行は
どうしたのだろうか?壁外で亡くなったのか、
まだ生きているのか・・・・君は知っているかい?」
その言葉にドキッとする。
エルヴィンの顔を盗み見る限りでは、
純粋な疑問として聞いているようだが、
直感で自分がその代行だと知られてはいけない気がした。
それに『代行』としての自分はもう死んだと思っている。
「『狼』と共に滅んださ・・・・」
「そうか。もしも生きていたら会って
改造手術の事や他の技術について尋ねたかったのだが・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・」
危なかった、とこっそり額に汗を滲ませる。
『尋ねる』と穏便に言っているが、彼の口調から拷問してでも
改造手術の方法を聞き出したいと考えているようで
恐ろしかった。