過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 前編】
第41章 秘密の共有と隠し事
そういえば、ソロモンも恐い一面があったな・・・と
思い出し、ふとエルヴィンの蒼い瞳に目をやる。
ソロモンと同じ蒼色をした瞳はとても大好きな色で、
一心に見つめているとエルヴィンはナナシから目を逸らして
「そんなに見つめられるともっと触れたくなってしまう」と呟いた。
ぎゅっと握られていた手に力が籠められナナシは
反射的に身を引いたが、エルヴィンに腰を掴まれて逆に
身体を引き寄せられた。
「やはり逃げられてばかりでは傷つくよ」
苦笑混じりでそう言われてもどうして良いかわからず、
眉をハの字にさせるとエルヴィンから笑われてしまった。
「君は本当に表情豊かになったね。
今の表情も可愛らしくて良いと思うよ。
ここにいる間は変に緊張せず、自然な姿で過ごして欲しいと
思っているんだ」
女を口説くような声色と手付きに思わず身体が強張る。
絆されてはいけない、とエルヴィンの腕から逃れ
「そうだな」と曖昧に濁して、もう冷めてしまった食事を
乗せたトレイを持った。
「腕輪の調整をしなければならぬから、部屋に戻る」
「・・・・あぁ、わかった。よろしく頼むよ」
ニッコリと余裕ある微笑みを向けられたナナシは
足早に執務室から出て行った。
残されたエルヴィンは笑みを消し、瞳に冷たい色を乗せた。
「まだ隠し事があるようだね、ナナシ・・・・」